第10章 ☆Story8☆ アイドルになる道
「ゆりさんを見て、彼女をこの事務所で育成していきたいと強く思いました。
そして彼女のご友人も、人を惹きつける力があると感じました。
彼女たちを、私の手でデビューさせてあげたい。アイドル界のトップに立たせてあげたいと思いました。」
「……やっぱり、ゆりちゃんは百合の娘ね。」
「……そうだな。アイツも、社長から直々に言われたからな……
母娘共々、すげぇって思うよ……なら、」
(なら美澤は、確実にゆりちゃんは手に入れたいって思うだろうな……
現に百合の名前を出した途端あの表情だ。なら、なおさら……)
隼人は太輔に目を向けた。
「……。」
「……。」
(あいつは、どんな答えを出すんだろうな……)
「娘さんは、アイドルになりたいと……おっしゃっているのですよね?」
「……はい。母のようにテレビに出たい、みんなを笑顔にしたいって……言っています。
辛いことからも、逃げないと……言っています……」
「っ……なら……!」
「……。」
「なら、私たちにゆりさんを……任せてはいただけないでしょうか……」
「っ……」
瑛二の言葉に苦い表情を見せる太輔。
「芸能界に対して、不信感を抱くのは当然でしょう……でも、
我々は責任をもってタレントたちをお守りしています。
もちろん、ゆりさんたちだって……」
「っ……」
「我々が、責任をもって娘さんたちを守ります。
ですから……我々を信じてはもらえないでしょうか?」
「……。」
「……そんなに、来海たちをアイドルにしたいんですか?」
_コクッ「彼女たちには、その力が宿っています。
きっと娘さんたちを、頂点に立たせますよ。それくらいの実力が、彼女たちにはあります。」
「どこからそんなこと……」
「オーラが、違うんですよ。
人にはそれぞれオーラというものがある。彼女たちには強いオーラを感じた。
特に、ゆりさんに関してはさらに強いものを感じました……。」
「……。」
(百合……俺は、どうすればいい……
ゆりを、芸能界に、アイドルという人間してしまっていいのだろうか……
それは本当に、ゆりの為になるのか……?)