第10章 ☆Story8☆ アイドルになる道
「っ藤ヶ谷先生……」
「北山先生、社長の名前はなんていうんですか?」
「美澤、瑛二っていう人です……歳は、まぁ30代くらいですかね……
社長にしては、ちょっと若い人かもです……一応、これがその人の名刺です。」
宏光は太輔に美澤の名刺を渡した。
「……。」
「見た感じは、普通にいい人そうですけど……小学生の女の子をスカウトするなんて……」
「……一体、どんな人物なんでしょうね……」
「っでも会うにしても!そう一般人が簡単に社長と会うことなんて……
いくら俺らが来海たちの親だからってそんなこと……」
「っ……おじいちゃんに、頼んでみます!」
「「っ……!?」」
「奈央ちゃん……」
「おじいちゃんが経営するAnnieだって、芸能事務所の中ではかなり大手で有名です。
何かしら、コンタクトが取れるはずです。コネにはなってしまいますけど、おじいちゃんなら……」
「っそうか、奈央ちゃんは片桐社長の孫だもんな……詩音……」
「美澤社長に会うのであれば、その方がいいかもしれないわね……でも本当にそこまでする必要、あるのかしら……
だって、凪咲たちを社長直々でスカウトよ?……ねぇ、その場にマネージャーや他の人は?」
「っはい……美澤さんと一緒に、若い男性がいました……確か、秘書さんだったわよねあなた?」
「っぁ、あぁ……そうだったな……」
「……北山先生、その秘書っていう人の名刺は?」
「っ多分あったと……」
「その人の名刺なら、私が持っています。……ぇっと、秘書さんの名前は黒木明人って人ですね。
もしかしたら、この人を通じれば……」
「まずその黒木って人に問い合わせてみましょう。
まずはそこから……」
「そうだな。遠回しにやらず、まずは内部の人間から攻めていかねぇとな。
コンタクト、早速とってみるか。んで、誰が取る?」
隼人は辺りを見渡す。
「……直接その場にいた北山先生か小夜さんに任せたほうがいいと思います。」
「なら、俺が取るよ。小夜、名刺貸してくれ。」
「えぇ。」
小夜は宏光に名刺を渡した。
「……この番号に、かければいいんだな。」
宏光はスマホを取り出し、黒木明人という人物の番号に電話をかけた。