第8章 ☆Story6☆ ママの命日
「あいつのカリスマ性は、嫌でも認めざるを得ない……この俺でもな……」
「っママは、本当に凄かったんですね……」
「あぁ……人間性も含めて、あんな奴はほとんどいねぇんじゃねぇか?
でも、お前にもそのカリスマ性の素質は十分にある。お前はきっと、
母親よりも大きな存在になっていくだろう……俺は、そう思っている……」
「っ廉さん……」
「アレンジの仕事……期待を裏切るんじゃねぇぞ?」
「っ……はい!」
「ふっ……(微笑)
母親と似ていないようで、似ているな……」
「ぇ……」
「顔はあいつそっくりで、性格は完全に父親譲りかなって思ってたけど……そうでもなさそうだな……
顔だけじゃなくて、人間性もなんとなく似ている……」
「……。」
「あの二人の血を引いてんだから、当然と言えば当然だな……
これから、母親や父親を超えるつもりで仕事に励め。
どんな仕事にも、全力で取り組め。」
「っ……はい……」
「まだ14なのに、しっかりしてんな……餓鬼って言うに言えねぇな……」
「……廉さん、昔はママのこと……」
「あぁ、餓鬼って言ってたよ。
お前のことは、一回もそう呼んだことねぇのにな(笑)
今思えば、まともにあいつのことを名前で呼んだことなかったな……一度くらい、
名前で呼んであげても、良かったかもな……」
「……でも、廉さんが思うほど全く嫌味を感じませんよ。
本当に嫌なら、ママもそう呼ぶのは止めてって言うはずですから。
私は、廉さんなりの慕い方って解釈してます。」
「……勝手に言ってろ。
さて、そろそろみんな帰り支度してるっぽいし、俺らも戻るとするか……」
「そうですね……」
「サンプルのCDとかは、事務所を通じてお前に渡す。
ま、これは俺が歌ったやつだけど一度くらいは聞いておけ。」
廉は自身がアレンジしたMiss YouのCDをゆりに渡した。
「ありがとうございます……帰ったら、早速聞いてみます。」
「ありがとな……んじゃ、行くぞ。」
「はいっ」