第8章 ☆Story6☆ ママの命日
「……俺にも、それなりに思入れのある曲なんだよな……」
「っそんな、大事な曲を私に……?」
「……この曲は、何らかの形でこれからも誰かに受け継いで欲しい……
俺はそう思った。美男にとっても、大切な曲だから……」
「廉さん……」
「だから、もしアレンジを頼むんだったら……これからの飛躍してと思ったお前に決めた……」
「っ……」
「他の意味わかんねーやつに渡すより、お前に渡したいって思った……
何でだろうな……まだ中2の餓鬼に、アレンジの仕事頼むんなんてよ……」
「……。」
「俺は……お前以外のやつにこの仕事を渡す気はねぇ。
お前が嫌なら、この話は元からなかったことにするつもりだ。」
「っそんな……!」
「……引き受けて、くれるか?」
「っ……
はい。
喜んで引き受けます……。」
「……よかった、お前が引き受けてくれて……(微笑)」
廉は優しくゆりに微笑んだ。
「アレンジの仕事、喜んで引き受けさせていただきます。
きっと、素晴らしいものにしてみせます。」
「あぁ、楽しみにしてるよ……お前は、母親と同じでまだまだ未知の力が宿っている……」
「っ……」
「……お前は、母親の影響で芸能界に入ったんだろ?」
「っ……はい……ちょっと、やることは違いますけど……」
「アイドルとモデルじゃ、違うからな。
ふっ……期待してるよ(微笑)
これから、母親が輝けなかった分、お前が輝け。
母親の分まで、輝け。
母親を超えろ。」
「っ……ママを、超える……」
「確かに、今のお前は日本で知らねぇ奴はいねぇだろ。
でも、まだ母親には及んでいない……お前の方が、芸能界にいた時間が長くても……」
「っ……」
「だからこそ、母親を超えろ。
アイツも、天国でそう思っている。」
「っ……」
「あいつが癌に侵されなければ、今でもこの世界で輝き続けていただろ……
それくらい、当時のアイツは凄かった……」
「……。」