第8章 ☆Story6☆ ママの命日
「運命って……」
「だって、俺の初恋はゆりちゃんのお母さんで……次に好きになったのはその人の娘……
しかも、俺と同じ名前の人がお父さんで……
これ、ただの偶然じゃないでしょ?」
「……。」
「多分、俺がゆりちゃんを好きになったきっかけはまず、お母さんに似てたからだと思う……」
「……結局、ママを私に重ねたんですね……
パパと、同じように……」
「っちがう!
確かに、最初に惹かれたきっかけはそうだったよ……でも、ゆりちゃんと色々共演しているうちにさ、
無意識にゆりちゃんのこと考えちゃうし……一つ一つの仕草とか、言葉にだって反応しちゃうし……
一緒にいればいるだけ……どんどん好きになって……」
「……。」
「俺、ここまで人を好きになったことないよ……確かに、
ゆりちゃんのお母さんは俺にとっての初恋だったのかもしれないけど、
それは憧れに近いものでさ……
女の子として、
彼女にしたいなって初めて思うようになったのは、
君なんだよ……」
「っ……」
「だから、君が誰を見てようが俺は諦めないよ……
想い続けていれば、いつかその気持ちが届くって……信じてる。
俺はね……」
「っ……」
「ほんとは、今すぐにでも抱きしめたいよ……でも、あの時キスもしちゃって、
ゆりちゃんからも拒絶されて……
これ以上、嫌われたくないって思ったから……」
「……。」
「……。」
「確かに、藤ヶ谷さんのことは異性として、一人の男の人としてみることはできません……
でも、嫌いなんてこと……」
「そういうの、マジで期待しちゃうよ?
なんとなく、ママ似なのかな……君は……」
「……。」
「なんか、今みたいに期待持たせてさ……君のお母さんも、なんとなくそんな気がする……」
「……。」
「でも俺は、そんなゆりちゃんが好きなんだけどね(微笑)」
「っ……」
「……(微笑)」