第8章 ☆Story6☆ ママの命日
「あーあ……一度でいいから、直接会ってみたかったな……
だって、不思議じゃん?」
「……。」
「雑誌でたまたまみただけなのに、一目惚れとかってさ……
だから、これも何かの運命か何かなのかなーって……」
「でも……その頃には、ママには大切な人がいました。
誰よりも、大切な……」
「……ゆりちゃんの、お父さんでしょ?
あの特番、俺もみてたから今でも覚えてんだよね……初恋の人で、大事な人で、
その人と付き合っていること……
その相手が、学校の先生だって……」
「……。」
「っほんと驚いたよ……まだ高校生くらいだったじゃん当時、
子供ながらに、衝撃だったよ……」
「……ママは、パパが初恋だったんです。
多分、当時の藤ヶ谷さんと同じくらいの時に、パパに一目惚れしたんです。」
「そうなんだ……小学生の時の初恋が、報われたんだね……」
「はい……」
「初恋は、実らないっていうのになー……」
「……でも、それも間違ってないと思います。
だって、パパとママが最初に会ったのはたった1、2週間くらいだけなんですよ?
さすがのママも、当時はパパに相手にされていませんでしたから……」
「まぁ、軽く受け流すわな(苦笑)」
「それで、ママは今の私くらいに陸くんと付き合ってたんです。」
「陸君って、昼間に帰ったあのテニスの?」
「はい、3年くらい。」
「へぇ……んじゃ、お父さんとはどういう感じで結ばれたの?」
「あんまり、パパから話してくれないのでわからないんですけど……伯父によれば、
ママが中学校の卒業式の時に、家族で回転寿司に行ったみたいです。
その時に、偶然再会したんです……」
「なんか、すげぇ偶然……この時点で赤い糸で繋がってそ(笑)」
_コクッ「はい、その日から……ふたりの歯車は回り始めたんです。
色々な壁にぶつかりながらも、パパとママは強い絆で結ばれて……」
「それで、ゆりちゃんが生まれたってわけなんだ……」
「はい……」
「……やっぱ、ゆりちゃんとは運命感じちゃうなぁ……」
「運命って……」