第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】
維side───────────---
あれから、2年。
私は大学生としてJDライフを満喫しながら、どこか虚無だった。
始めた一人暮らしも、なんだか冷たくて。
こんなの昔は普通だったのに・・・。
『・・・それを壊したのは・・・先生だよ・・・』
・・・先生は、大馬鹿だ。
そんな、或る夜。
真兄からの、久しぶりのメール。
【家変えたから今から見にこい】
・・・それだけ?
それだけで連絡するなんて、真兄らしくない。
だけど、真兄は私の中で絶対だ。
バッグも持たずに、財布と携帯だけで家を飛び出す。
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メールに書かれていたマンションは、それはそれは豪華で。
どこぞのホテルみたいだった。
アパート暮らしの私にとって、さすが、としか言いようがない。
『ほへぇー・・・』
感嘆の声が漏れ、夜闇に溶け込んでいく。
どこの階か教えられていないから、またメールを打った。
すると、返信は早く来て。
【迎え行くから待ってろ】
・・・相変わらずぶっきらぼう。
そんな姿も、久しぶり。
『真兄にちゃんと会うのは何年ぶりかな・・・』
なんだか・・・ドキドキする。
胸騒ぎ、みたいな感覚だ。
────すると。
一台の、セダンが道路に止まった。
知らない人だと、目を逸らす。
だけど─────
「・・・は?」
『───・・・っ』
降りてきたのは───。
私を壊した、あの人。