第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】
今吉side─────────────
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「・・・結局、俺の奢りですか」
「堪忍してや、もうおっさんやで、こっちは」
─────2年の、月日。
早いもんやな。あいつらが居なくなってからもう2年やで?
それなのに、いつまでも昨日みたいに思い出せるんや。
「・・・はぁ・・・分かったから。
もう泣くなよ。うるせぇ」
余韻に浸っとるっちゅうのに、この毒舌。
なんやこいつは・・・。
───花宮真は簡単な話、俺の飲み仲間や。
そう言ってもな、こいつが嫌がるやろうから言わんけど。
俺はそないに思っとる。
「・・・ただの飲み仲間なら文句言わねぇけどよ」
なんや、また嫌味かいな。
「・・・恋愛相談なんかすんじゃねぇよ」
うお、こわっ。
冷たい目でワシを見とる。
なんやなんや、そんなんでええんか、猫被りが。
「そないに言われてもなぁ・・・忘れられんのやこれが」
ビールでグイッと喉を鳴らす。
また目の前で溜め息が零れた。
「・・・いい加減、素直になれよ」
・・・分かっとるわ。
2年が経ったっちゅうのに、ワシは柚井への気持ちが忘れられんまま。
もうこれ以上好きになる女なんか居てへんよ、ワシには。
・・・でも、もう。
・・・柚井は、忘れとるんやろうなぁ・・・
そう考えるとまた涙腺が・・・
酒が入ってるもんやから涙脆くなっとる。
「・・・会えばいいじゃねぇか。また」
「────っぶー!!!!!」
「汚ぇ!!!!!」
「なに言うとんねんワレ!!!
無理に決まっとるやろドアホ!」
「はぁ!?」
「そないにズバズバしとるから上手くいかんのや恋愛なんて!」
「・・・。」
「ええか? 恋愛っちゅーのはな・・・」
あ、もう俺帰りまーす
あぁ!? 待て待て、送ってってや!
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・・・あいつは、どないしてるかな?
・・・好きな男でも、できたんやろか。