第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】
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どれくらい眠っていただろう。
気がつけば日が傾いていて、
グラウンドでは野球部が片付けをしていて。
慌てて跳ね起きると、頭がズキンと痛くなった。
「あら、起きたのね。
まだ安静にしてなさい、もうすぐで親御さんが迎えに来るから」
そんな声も、流れていく。
・・・なんで?
・・・何でだろう・・・
・・・私今、今吉先生が傍に居てくれてると思ってた。
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身体中の湿布やら絆創膏やら。
見ているこっちが嫌になる。
────ふーん。・・・で? もうなんともないのか?
『うん。どこも痛くない』
その傷を軽く擦りながら、耳元に降る声に意識を預ける。
『・・・真兄は? 仕事順調?』
────当たり前ぇだろバァカ。
俺が不調なんてありえねぇよ。
『ははっ、そうだよね、真兄だもんね』
懐かしい声。
やっぱり誰よりも安心する。
────つかお前、もうそろそろ従兄離れしろよ。
『えー? 真兄が「俺にはお前だけだ」とか言ってたのに?』
─────((ブツッ・・・
『あ』
全く・・・素直じゃないな!
・・・なんて、ね。
素直じゃないのは私だよ。
気づいたの。
この気持ちの意味に。
こんな気持ちになる意味に。
知ってた、知ってたけど・・・。
『・・・認められるわけないよ』
滑り垂れてきた髪を手櫛する。
こんな私に、こんな気持ち。
合わない、なぁ・・・。
相性、最悪だ。