• テキストサイズ

何よりも大切な君に。【黒バス】

第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】


維side──────────────
─────---







あの人は昔から天才だった。









《真兄、またオール5?》

《当たり前だろ》

《・・・まぁ、猫被ってんだから当たり前だよね》







欺くのがとても巧かった。




猫を被って、それを当たり前のように演じる。





────そんな従兄を、尊敬していた。









《・・・真兄?》



でも、ある日。



《・・・維》



彼の目は、変わっていた。




優等生の顔が剥がれた瞬間、

目の光がなくなって虚無になる。


《・・・大丈夫?》


そんな声も届いていなそうで怖い。


《・・・何かあった?》


《・・・何かあった、か・・・》


真兄がぽつりと呟く。





《────俺には、お前だけだ》






そう呟いて、頭を撫でてくれる。


真兄は昔から悪童だったけど、

こうして撫でてくれるから好きだ。

猫みたいな気分になる。



《───当たり前じゃん》




───・・・この笑顔は、下手、かな?







・・・あぁ、なんか・・・真兄の体温が蘇る気がする。


冷たくもないけど、温かくもない。


丁度いいのに、不安になる。


お父さんとは、まるで違っていた。



額に重みが加わって、温かくなる。


・・・落ち着く・・・────。








/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp