第1章 似た者同士は惹かれ合う?【花宮真】
ドサッ
と、体が宙で回る。
軽めのカーディガンが風に舞って、
ベッドの上に広がった。
「・・・なぁ」
耳元に降る、大好きな声。
それと共に、
とっても緊張する声。
「俺じゃなかったらどうしてた?」
わかんない。
「それでも開けてたのかよ?」
わかるわけない。
「なんか言えよ」
────生徒に恋をしたことなんて、
一度もないんだから。
掌が太股を撫ぜる。
それに反応してしまって、
声が漏れる。
原くんが撫でた時とはまた違う緊張。
「襲われるからな。こんな格好で開けたら」
わかってた。
でも、
花宮だって確信したから。
「なんでこんな格好してんだよ。
原にこんなの見せたらヤられるだろ」
ボタンが外される。
でも私は、声を発することも無ければ、抵抗することもなかった。
ただただ、頭が回らないだけ。
「・・・」
声が止む。
なんで、なんでよ。
なんでそんなに、静かな声なの?
ねぇ、そんな声で話さないでよ。
心臓を鷲掴みされたみたいに痛い。
やめて。
いつもみたいに、嘲笑ってくれれば・・・
・・・嗤ってくれれば、この気持ちを無くすことが出来たかもしれないのに。
『・・・いつもみたいに、笑ってよ』
どうしてそんなに真剣な顔なの?
笑って。
馬鹿にしててもいいから。
馬鹿にしてくれた方が気が楽なの。
『笑ってよ。・・・ねぇ』
「・・・」
『いつもみたいに・・・、
ねぇ、いつもと同じように笑ってよ・・・っ』
認めたくない。
認められない。
生徒に・・・花宮に、恋をしたなんて。
『馬鹿にしていいから・・・っ
今だったら怒らないから・・・、
ねぇ、お願い・・・だから』
視界が歪む。
廊下が騒がしい。
もう生徒たちが溢れていく。
でも、もう少しだけ、
もう少しだけ。
ふたりで、居させて。
『・・・っや、』
花宮は何も言わずに首元に唇を運ぶ。
あったかい感触がぞわりと背中を震わす。
やめて。やめて・・・
これ以上、痛感させないで。
あなたと私は、ダメなの。
私は、認めちゃダメなの。
私から、離れなきゃダメ。
そう思ってるのに・・・
なのに・・・
『・・・っ
・・・もっと・・・っ』