第1章 似た者同士は惹かれ合う?【花宮真】
保健室の前に来ると、
中で物音がしているのに気がついた。
ギシギシと、軋む音。
衣擦れの音。
・・・まさか・・・
『・・・また、空気読んだ方がいいの・・・?』
そんな・・・でもお昼前に・・・しかも授業中かもしれないのに!
持っていたミルクパンを落としそうになって、慌てて持ち直す。
ダメ、絶対に・・・注意しなきゃ。
そっと、音が聞こえないようにドアを開く。
『?・・・』
声、がしない・・・?
発情期の行為
という疑惑は頭から抜けていった。
じゃあ、なに・・・?
ベッドに近づくたび聞こえてくるのは寝息。
『・・・寝てるの?』
声をかけてみても返事はない。
勝手にベッドに寝るなんて・・・
『・・・花宮・・・?』
勝手をするなんて、あいつしか居ない・・・はずだよね?
でも、もし違かったら?
────そう考えると、残念がる自分が居る。
どうして?
なんで?
『・・・花宮?』
返事はない。
それが一層、期待を膨らませる。
僅かな衣擦れの音。
そんな音と、
私がカーテンを開けた瞬間は同時だった。
「・・・俺じゃなかったら」
『っ・・・』
どうしてたんだよ?
ミルクパンが、床に弾んだ。
・・・・・・私、どうしてた?