第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】
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「ナイッシューッ!!」
リングに吸い込まれたボールが床を揺らす。
フォームも綺麗だし、確かにナイスシュートだ。
スコアに追加記入して、ボール拾いに向かう。
ゲーム中だから邪魔しないよう、細心の注意を払った。
──────、
「───柚井ッ!!!!!」
『・・・え?』
────筈なのに。
《・・・あのな、自分で思ってる以上に思い通りにいかねぇぞ、これから》
────あぁ、ほんとだ。
これは予想してなかったな・・・
────つくづく、つまらない世界だ。
ボルトが古くなったリングが、加速する。
・・・どうしてこんなになるまで放っておいたの。
ダンクをした瞬間に壊れたみたいだ。
・・・嫌な人生。
痛みなんて感じる筈もなく。
電源のように、意識が落ちた。