第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】
維side───────────---
退屈だ。
こんな人生、退屈すぎて反吐が出る。
もう少し、面白味のある人生を送りたい。
神様は、皮肉なほどに不公平だ。
「ねね、どうしたらそんなに頭が良くなるの!?」
あー・・・またその質問?
『え・・・何も特別なことはしてないよ』
はぁー・・・また同じ答え。
「えぇー! ほんと~?」
私の何をそんなに知りたいのか。
『うん。・・・強いて言うなら、課題は期限内に終わらせること、かな』
当たり前のことを、当たり前に言うだけ。
その後彼女はこう言うだろう。
───え~、真面目! いいなぁ~!───
「え~、真面目! いいなぁ~!」
・・・ふふっ・・・
何だろう、もう呆れを通り越して笑いが出てくる。
考えてることが見え見えなのよ。
・・・何で、神様は私の人生をこんなに退屈にしたのか・・・
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汗が滴る。
額の隅から流れる汗は、意思と反映していない。
馬鹿みたいな暑さに怠くなる。
「柚井さーん、タオルどこー?」
『あ、すみません。皆さんのジャージの上に置いてあります』
「おーありがとう。本当に気が利くよね」
『私に出来ることはこれくらいしか無いので』
笑顔を貼り付ける。
不思議なことに・・・というか習慣のように、私の顔には作り笑いが貼り付いてくれる。
その笑顔の裏を誰かに見破られたことはないし、親でさえ気が付いていない。
『・・・ほんと・・・扱いやすい・・・』
親なんて私が良い顔して成績さえ良くなれば何でもいいんだろう。
怒られたことなんてほとんどない。
────こんなに、簡単なものだ。
人の感情なんて。
【恋】というものだって、笑顔ひとつでどうにでもなる。
男なんてそんなもので、女だってそんなものだ。
所詮、人はそんなもの。
たったそんなことでどうにでもなる。