第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
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「───火神くん」
「うおっ・・・なんだよ」
「なに黄昏てるんですか。行きますよ」
「おう」
あれから・・・一年。
あの日、あのとき。
俺は間違ってなかったと思う。
こいつの光になったことも、
仲間を信じたことも。
だから・・・ここに立っていられているんだと思う。
「───またな、黒子」
「───はい」
湿気ってる別れなんて要らねぇ。
俺は、俺の道を進んで、いつかまたあいつらとバスケをするだけだ。
──────・・・、
「っ!!!!!?」
空港ですれ違う人々。
そのなかに、忘れちゃいけねぇものがある気がした。
「っくそ・・・」
何でだ・・・
なんで、こんなに・・・
───お前に近づけねぇんだ。
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維side
「・・・ん? 維ちん?」
「何を買ってきたんだ?また・・・」
期待している目と、呆れた目。
キャプテンになった氷室と、
渡米する友達を送ると言いやって来た紫原くん。
そして私は、受付係のグランドスタッフ。
今日は、ほんとにほんとに久しぶりの休暇。
そして二人と会おうという話になった。
「国際空港限定のまいう棒!
しかも裏メニューなんだよ」
「・・・維ちん好き」
「ふふふ、知ってる」
「あんまり甘やかさないでくれ、アツシを」
「それ氷室が言っちゃう?」
久しぶりに見たふたりの顔に元気が出てくる感じがする。
スタッフ限定のまいう棒に喜んでくれてよかった。
「これ持ってる~」とか言われたら立ち直れなかった。
「・・・あ、じゃあ俺行くね~
維ちん、また会おうねー」
「あ、うん! またね!」
約束の時間なのかな。
氷室が微笑みながらこちらに顔を向ける。
「・・・元気そうでよかったよ」
『うん。氷室もね』
「・・・覚えてるかい? 高校の頃」
『もちろん。・・・楽しかったなぁ』
どこか懐かしくなる。
こうやって氷室や紫原くんが居るのが当たり前だったのに。
・・・いつのまにか、変わってしまった。