第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
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「負けたよタイガ・・・約束通りもう俺は兄とは名乗らない」
今は、その言葉に頷くしかできない。
「・・・あぁ。」
──────・・・、
「っ!!!!!」
「タイガ?」
「今の・・・っ、おい・・・っ」
気がついたら、走り出していた。
そんな姿を、タツヤが微笑みながら見ていたことも知らずに。
「・・・やっぱりお前は凄いよ、タイガ」
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人が多すぎて進まねぇ・・・っ!
一瞬、見えたあの後ろ姿・・・
後ろ姿だけなのに、何故か追いかけなきゃいけねぇって全身が叫んでる。
クソ・・・ッ、見失ったのか・・・?
『───・・・火神・・・───?』
「!!!!!」
目の前に現れた、小さな女。
でも、誰だか分からない。
だけど、無視しちゃいけねぇと思った。
『────覚えて、ない?』
息の仕方を忘れたように、固まってしまう。
「・・・お前は・・・」
────誰だ?
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[Let's me see you become the No.1 player.
───Bro. ]
《────覚えて、ない?》
「───ハッ!!!!!」
久しぶりの夢。
頬を涙が滑り落ちていく。
あの日。
《───誰だ?》
と呟いた俺に、悲しみを堪えたように笑った女。
追いかけなくちゃいけない、
そう思っていたのに、体が動かなかった。
───そして。
タツヤの言葉が頭を回る。
・・・そうだ、俺は・・・
────優勝、するんだ。
あいつら、と。
俺は、まだやるべきことがたくさんある。