第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
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第1Qは18対0・・・
驚異的な高さに圧倒されちまう。
・・・やっぱ、隙なんてねぇな・・・
ふと、陽泉コートに目を向けると。
「────!」
後ろ姿なのに。
・・・あの女・・・は・・・
会ったこともねぇ。
話したこともねぇ。
誰だか知らねぇその女の後ろ姿に、
何故か釘付けになっていた。
「───くん! 火神くん!?」
「っえ・・・」
「ボケッとしてる暇無いわよ!」
「────ウス」
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第2Q、29対17・・・
インターバル10分に入った。
黒子の初得点で、少し流れが変わってきたように思える。
このまま・・・────!
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「───だが勝つのは俺だ!タイガ!!!」
刺すような視線が行き違う。
俺だって負けるつもりなんか無ぇよ。
「────お前、まだ心のどこかで俺を兄として見てるんじゃないだろうな?」
──────・・・っ───
・・・俺は・・・
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第4Q、残り4秒・・・
得点72対73・・・
ダンクをし、着地した瞬間足に衝撃が来た。
く、そ・・・っ!!!!!
ダメだダメだダメだ!
立て立て立て!!!!!
絶対、負けるわけには・・・
「まだだ!!!!!」
─────!!!
「火神っ!!!」
立て・・・
俺の勝負じゃねぇんだ。
俺たちの・・・誠凛の勝負なんだ・・・!
「────だからこれで終わりだ!」
黒子の声が轟いたその瞬間───
───ボールがリングに吸い込まれた。
・・・────勝った─────・・・