第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
──────────────---
「・・・あれ~? 何やってんの、あの二人~?」
「さ、さぁ・・・」
何かギャラリーが増えた気が・・・
でも、久しぶりのタツヤとのバスケ。
楽しみの他に思い浮かばない。
「・・・いつでもいいよ」
『・・・んじゃ』
女相手とはいえ、やっぱタツヤはバスケとなると本気の目になる。
やっぱかっけーよ、タツヤは。
しかも女の体だからか、体重が軽い。
ジャンプ力は劣るし、スピードも劣るけど、やっぱ軽いのはいい。
ダンクじゃなくたって、点は入れられるしな。
「────!!!」
「うおっ!!?」
ボールを受け取った瞬間、走り出す。
ドリブルして、タツヤの横を通り過ぎていった。
そしてそのままスリー。
音も立てずにボールは吸い込まれ、ゴールの下でバウンドした。
・・・あれ・・・
・・・こんなんで、いいのか・・・?
「・・・驚いたよ。バスケ出来たのか」
『え・・・あ、うん』
氷室が微笑みながらボールを取る。
そして、走り出した。
俺の横を通り過ぎていく寸前で、咄嗟に手を伸ばした。
だが、勿論空振り。
でも俺も食らい付き、軸足を回転させて回り込んだ。
「!」
『っしゃ・・・』
ボールが手に収まるこの感じ。
・・・久しぶりな感じがする。
────そして、そのままレイアップ。
ゴールに吸い込まれるボール。
─────何だよ、これ・・・
『・・・何だよ・・・こんなの』
「え・・・」
ボールも取らずタツヤの傍に歩み寄る。
周りの誰かが「やべぇ」と呟き、また誰かも音を立てて立ち上がった。
『────何だよタツヤ!!!!!』
「!!!」
胸ぐらを掴む気はねぇ。
でも、目の前のタツヤに少し苛立った。
『手ェ抜くなって言ったの、タツヤじゃねぇか!!!!!』
「っ!!」
誰かが「おい!」と怒鳴り、そしてまた何かを叫ぶ。
だが俺は、口々にタツヤを責めた。
何なんだよ。
手ェ抜くなって言ったの、お前だろ?
女だろうが子供だろうが、関係ねぇじゃねぇか。
バスケをやる奴らに手加減なんてするもんじゃねぇだろ。
それを教えてくれたのは、タツヤじゃねぇか。