第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
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引き戸が静かに音を鳴らす。
ふらっと帰ってきて、あんまり記憶が無ぇ。
「あ、お姉ちゃ・・・お姉ちゃん!?」
維の妹が煎餅を食べながらこちらを振り向いたが、俺は気にすることなく部屋に向かって走る。
ノート・・・ノートはどこだ?
『・・・っ! あった!』
今日は古文の授業がなかったから、部屋にあるかもと思って急いでいた。
そこに書かれていたのは・・・
【3年の授業なんて分かるの?】
『・・・全然わかんねぇよ』
だから同じクラスの[福井]とか言う奴に教えてもらってる。
次のページに目を移すと・・・
【氷室はあんたを倒しに行くよ】
『っ・・・』
やっぱり。
こいつ、何か聞いてやがってたんだな。
だからタツヤはあんまり驚いてなかったんだ。
ノートに記す。
【お前は何だ?】
【俺はどうすればいいんだ?】
そこまで書いた瞬間、瞼が重くなる。
夕飯食ってねぇけど、あいつも食ってなかったときあったしな。
そう考えて、意識を手放す。