第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
・・・そんなこと・・・
『────そんなことねぇよ!!!!!』
ダッと走り出してタツヤの胸ぐらを掴んだ。
目を見開くタツヤの顔が目の前。
「おい!?」
誰かがそう叫んで、維の名前を叫んだ。
そんな声も、今は流れていく。
『そんなわけねぇだろ!!!!!
タツヤは俺にとって───・・・っ』
・・・俺にとって・・・・・・何だ?
この先言いたかった言葉を告げて、
タツヤは俺との仲を修復してくれるのか?
言葉だけで納得するような奴じゃない。
───やるなら、バスケで。
「・・・っおい、維・・・!?」
誰かに肩を掴まれて、爪先立ちから直る。
頭が段々と冷えてきて、サーっと血の気が引いていく感じがした。
・・・やっちまった・・・
ぜってー・・・あいつに怒られる・・・
心配になってタツヤに顔を向けると、
目を見開いたまま俺の腕を掴んだ。
「・・・タイガ、なのか・・・?」
『っ!!!』
違う。
そう言わねぇと。
・・・なのに、口が動いてくれねぇ。
その瞬間、肩を揺さぶられた。
「タイガなのか!? ・・・何で・・・」
叫ばれる。
タツヤが顔を歪ませて悲痛に叫ぶ。
ここでやっと体が動いて、
肩を掴むタツヤの腕を掴んで首を振った。
『ち、違、』
「そうなんだろ!? 何でお前が」
『違う!!!』
「!!!!!」
ダメだ・・・こいつにだけはバレたくねぇ。
『違う・・・わ、私は・・・』
───────っ!!!
・・・俺・・・・・・───誰なんだ?
───こいつは・・・何なんだ?
俺は今・・・誰なんだ?
「・・・維?」
『っ!!! ・・・ご、ごめん・・・』
「いや・・・俺こそ」
悲しそうに微笑んだタツヤは、
俺の・・・維の頭を優しく撫でた。
────昔みてぇに。