第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
「・・・は? 覚えてねーの?」
・・・同じ反応だ・・・
一応同じクラスの福井に訊いてみた。
『うん・・・どんな感じだった?』
「どうって・・・、
まず髪おろしてた。寝癖付いてたし」
『・・・え!?』
「そんで、タイツじゃなかった。靴下も短ぇのだったし、危なっかしかったな」
『えぇ!?』
「それに自分の席も名前も部活もマネージャーの仕事も忘れてた」
『どっうぇ、ぇぇぇえ!?』
一気に背筋が寒くなる。
な、何なの・・・それ。
女として終わってるじゃん!!
「しかも『俺』とか『~だろ?』とか男言葉使ってたな」
『そ、そんな・・・』
もうお先真っ暗だ・・・
何なのよそれ・・・!!
「なぁ、本当に覚えてねぇのか?」
『う、うん・・・』
「疲れてんじゃねーの?
昨日はマジで変だったし」
『・・・疲れてる、のかなー・・・?』
自分でもわからない。
こんな事、今まで無かったのに・・・
──────────────---
「───有明月。
有明の月とも言うけど、どちらも有明の空に浮かぶ月の事ね」
国語の美人教師が黒板に素早く書く。
【有明~月が残っているまま、夜が明けること】
「最近は見られないけど、凄く天気の良い日はよく浮かんでいるわね」
「しつもーん。暁時じゃないんすかー?」
「暁時ねぇ・・・それはここら辺の方言じゃないかしら」
「田舎だしなぁ」
ドッと起こる笑い声。
夜明けの事に変わりはないわね
そんな声も右から左へと流れていった。
【お前は誰だ?】
・・・ん?
何ページかめくってみるけど、変な言葉が書かれているのはここだけ。
何・・・これ。