第4章 出逢うことの無かったふたり【火神 大我】
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「あ! お姉ちゃん! 遅いよ!!」
『ごめんて』
リビングに着くと、早速睨み付けてくる妹。
お婆ちゃんはどうでも良さそうにご飯を頬張っていた。
私も早速ご飯を盛る。
「・・・」
・・・視線?
『・・・何よ』
「・・・お姉ちゃん、今日は普通だね」
『え?』
「昨日はあんけ(あんなに)変だったのに」
『え? え?』
「ね、お婆ちゃん」
「んだねぇ」
『え!?』
な、なんのこと・・・?
「・・・まさか、覚えてないの?」
『・・・えぇ・・・?』
怪訝な目付きが突き刺さる。
妹がこんな顔をすることはよくあるけど、いつもの倍だった。
「・・・ま、疲れてるんでしょ? お姉ちゃんも」
『え・・・・・・えぇ・・・?』
何のことなの・・・?
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姿見の前で髪を整える。
櫛で解かして、結いで。
たったそれだけの事なのに、気合いがどこからか入る感じがした。
『・・・よし』
今日も、頑張らないと。
『「行ってきまーす」』
妹と一緒に家を出た。
私の家は山の麓にあるから、結構かかる。
こんな田舎に住んでる自分が憎たらしい・・・
「じゃ、お姉ちゃん、しっかり勉強しといでー」
『あんたもねー』
やっと大通りに出てきて、妹と別れる。
ここまで来れば、もうすぐそこだ。
「・・・あ、維ちんだ~」
『紫原くんか。おはよう』
「おはよう、維」
『おはよー氷室』
早速、巨体と遭遇。
この人達は部活関係で知り合った仲だ。
だけどたまにこうして会うとき、挨拶をしてくれる。
「・・・維ちん、今日は普通なんだね~」
『え?』
「そう言えば、昨日は髪をおろしてたね」
『え、・・・?』
紫原くん達までそんなことを・・・
一体・・・