第3章 記憶の中の彼女【赤司 征十郎】
『申し訳ございませんでした。
メイドカフェは1年生のフロアでやっています』
「・・・ははっ! いやそうじゃなくてね・・・」
・・・っ!? はっ!?
一瞬ポカンとしたその男にポカンとしていたら、いきなり頬を撫でられた。
全身の毛が逆立つような感覚。
『え、あの、ちょっと』
「俺は君がいいんだよね」
いや知らないし!
ちょ、この男どうにかして!
何でみんな気付かないの!?
『いや私は、』
「・・・俺とならイイコト出来るのに?」
したかねーよ!!!!
・・・あら、ちょっと男言葉が・・・
『ん、んん"! ・・・
えーお客様、私は今忙しいので・・・』
遠回しに拒否してんのに、それを無視して微笑む男。
あんたなんか格好よか無いの!
赤司先生の方が数万倍、格好いいの!
「手を離して貰おうか」
ほら、こんなイケメン台詞まで・・・
・・・っっっっっえ!!!!!?
『え、ちょ、赤司先生!』
撫でていた手を鷲掴みで掴む先生。
その顔は般若よりも怖かった。
「えっ・・・先生!?」
見るからにマズそうな顔をした男。
まぁ、若いから先生に見えないよね。分かる分かる。
「手を離すんだ。
・・・君は何処の高校かな? 連絡させて貰いたいんだが・・・」
「っ!? それは・・・」
掴まれている手が恐ろしい音を奏でた。
え、これ折れるんじゃないの? 普通に。
「まぁ、言えなくて当然だろうな。
君は受験生なんだから」
「なっ!!!!!?」
顔面蒼白。
まさにこれだ。
見る見る内に顔色を悪くして、さっきのホスト感は何処へやら。ただの少年の顔をしていた。
「通報されたくなければ離すんだ。
ご両親や自分の身を考えてごらん?」
いきなりの優しい語りかけ口調も今じゃ怖すぎる。
声も出せないその男は、震えたまま手を降ろして立ち竦んだ。
『・・・先生、怖っ』
「教え子が困っていたら当然だろう」
でも流石にこれじゃあ・・・
「それより、もう上がっていいとクラスの人が言っていたんだが。
もう上がったらどうだ?」
『あ、そうなんですか! やったー!』
そうと聞いちゃあ、直ぐさま教室へ直行。
動きにくいスリットスカートを脱ぎ捨てた。