第3章 記憶の中の彼女【赤司 征十郎】
『・・・先生』
『先生て、恋するんですか?』
・・・ああ。したよ。
君に。
『・・・いきなり、ごめんなさい』
微笑んだ彼女の腕で、
ブレスレットに付いている鈴が鳴り響いた。
覚えているかな
<何で先生、気づかないかな>
気付いているよ
<どうして・・・そんなに、泣きそうなの?>
どうしてだろう
<・・・好きになって、ごめんなさい>
謝らないでくれ
<大好きですよ、先生>
あぁ、俺もだ
<でも、先生は先生だからね>
君も、生徒だから
<好きには、なれないなぁ>
でも、消せないんだ
<涙も出ないな>
やっと見つけたんだ
<気づいて欲しいけど、気づかないで>
無理なお願いだな
<・・・諦めるから。もう話さないで>
・・・ああ。
<・・・ごめんなさい、先生。・・・大好き>
・・・・・・俺もだよ。
────そんな夢を見た。
俺達は、結ばれない。
結んじゃ、いけない。