第3章 記憶の中の彼女【赤司 征十郎】
『ん~っ・・・・・・っう、っぐ!?』
顔を傾けた瞬間にぶつかる額。
その瞬間落ちてくるノート。
『っ~・・・いったぁ~・・・』
頭を押さえるけど痛みは消えず。
・・・夢?
『まさかの夢落ち!?』
・・・、
・・・っぎゃー!!!!
めっちゃ恥ずかしいじゃん!!!!
『あ、アホにも程があるよ・・・』
まさか、先生と・・・キス、だなんて。
『っだあああ!!!!
マジで1回死んでもいいー!』
「・・・何言ってんのお前」
跳ね返るように振り向くと、
キャプテンの司くんが立っていた。
怪訝に見下ろされて声も出ない。
『あ、いや・・・何も・・・』
「ったく・・・デカい音するから来てみたのに・・・本当バカだなお前は」
落ちてたノートで叩かれる。
『っな・・・』
睨み付けても返されるのは笑顔だけ。
ったく・・・この男は・・・。
取敢えずノートを片して、
部室の掃除は終えることにした。
『もう部活終わりだよね?』
「ああ。片付けしてるよ」
体育館はまだ煌々と明かりがついている。
今日も一日、仕事が終わった。
『・・・あ、それ持ってく。貸して?』
「あ、すんません。あざす」
後輩からボール籠を受け継いで、
がらがらと押していく。
そんな間も、自己嫌悪は止まらず。
自分のアホさに呆れる・・・
もう少しマシな夢あったでしょうよ。
・・・あ、寝ること自体おかしい事か。
「・・・柚井?」
『っひ、あっ、はい!』
やっばい。考え事してて気づかなかった。
って赤司先生!
『な、なっななんでしょう』
「?」
挙動不審になってしまう・・・
いやでもさっきあんな夢見ちゃったし。
「今度の練習試合の日程について相談があるんだ。来て貰えるか?」
『あ、はい!』
普段通り笑って話してくれる先生。
・・・バカだなぁ私・・・
先生が私に興味を持つわけないじゃない。
ほんとの意味での夢だね。
・・・ほんと、バカ。