• テキストサイズ

何よりも大切な君に。【黒バス】

第2章 そんな毎日が幸せだった。【伊月 俊】


──────────────---


野菜炒めと、野菜スープ。

野菜を愛する私にとって、最高の晩飯だ。


『・・・先生、出来たよ』

コンコンと乾く音。

広い部屋には特に響いた。


『・・・? 居ないの?』

「・・・居る居る」

『ひぎぁぁぁぁあ!?』


いつのまにか目の前に居た先生に悲鳴しか上がってこない。

『おど、おおおおおおど、驚かさないでよ!!』

「いやこっちこそ」

そう言って笑う先生。

眉を傾けて笑う姿に見入ってしまった。


『・・・! で、出来たから早く食べよう』

もうこの気持ちがなんだか分かんなくて、取敢えず先生を引っ張って座らせた。

誰かと一緒のいただきます。

声が重なるのが面白い。



「うん、美味い」

『え、ほんと?』

「うん、ほんと。俺こんなの作れないから」

『いつもどんなの食べてるの?』

「んー・・・軽いものだな。
カレーとか、ラーメンとか」

『ラーメン作れるの?』

「インスタントな」

『あーそっち』



食事中の会話だって、面白い。

話しかけたら返ってくる。

笑いかけたら返ってくる。

キャッチボールみたいだ。




『あ、先生。数学教えて、今日のとこ』

「あー・・・特別だからな」

『ラッキー』



それが先生だからなのかな。

何かに包まれたみたいに、心が軽くて落ち着いていく。




───────---────---


《パパの料理は世界一だね!》

[おー、そうか! パパは幸せ者だな]

[やだー維。ママは?]

《ママのオムライスは世界一!》

[オムライスだけなの!?]


───────---────---



昔は・・・そう言って笑ってたのに。

今じゃ、仕送り以外は何も無い。

手紙でさえ、一通も。

私、どこかで間違えたかな。

ふたりが仕事の方が好きになっちゃったから、仕方ないのかな。

ママもパパも大好きだから、
応援しなきゃいけないよね。


/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp