第2章 そんな毎日が幸せだった。【伊月 俊】
維side──────────────
『・・・・・・っん・・・』
目を覚ますと、シルクの心地好さ。
パッと起き上がると夕陽が染みて橙に染まっている。
『・・・寝ちゃってた!?』
やばい、どうしよう。
覚えている記憶は・・・必死になって席についた所まで。
眠気が襲ってきて、それどころじゃなかった。
『・・・あ・・・バイト!!!!』
寝ている場合じゃない。
この時間を逃したら、今月は生活出来ない。
そう思い、教室に鞄を取りに行こうと踏み出すと。
『! い、伊月、先生・・・?』
先生が椅子に座って寝ていた。
傍には私の鞄。そして上着。
待ってて、くれたの?
『せんせ、先生』
「・・・・・・ん・・・ぁ、起きたか?」
『先生こそ起きました?』
「あぁ・・・寝てたなぁ・・・」
欠伸をして伸びをして居る。
先生の寝顔、綺麗だったな・・・。
オレンジに染まって、前髪が靡いて。
綺麗、って言うんでしょう?
『待っててくれたんですか?
ありがとうございます』
座ってる先生に頭を下げる。
頭下げなくていいよ
って、撫でるように響く声。
心地好くて、眠っちゃいそう。
「それより、この後のバイトは休みにして貰ったよ」
『・・・・・・はい?』
「さっき電話来て。いつも遅れず来てくれるからいいよ、って言ってたよ」
・・・休みに、した?
『な、』
「な?」
『な─────何してくれてんですか!!!!』
校庭に居る野球部までもが振り向いてしまうほどの叫び声。
心の底から這い上がってきた声だった。