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何よりも大切な君に。【黒バス】

第8章 シンデレラになりたくて。【灰崎 祥吾】


なんのことだよ。

「お前‥‥」

「あはは‥‥」

ガン無視しやがった。そんなにおもしろくねーじゃねーかよ、この番組。

「おい、なんのことだよ」

「ちょ、気にしないで」

「はァ? 気にすんだろ」

「近い。近いから離れて」

「言わねーとわかんねーだろ?」

「‥‥なんでもないって」

「‥‥‥あーそうかよ」

めんどくせ。

なんだこいつ。急によそよそしく‥‥。

言いたくねーなら言わなきゃいい。

俺だって、忘れられるからなァ。

「‥‥チッ‥‥」

‥‥なんでこんなにむしゃくしゃすんだよ‥‥。


「ご飯、炊けてるから。好きな分よそって」

「‥‥‥おい」

「‥‥‥」

「なに泣いてんだよ」


勘弁してくれ。おいおい。

急に不機嫌になったり泣かれたり、勘弁しろよ。なァ?

めんどくせえよ、そういうの。

‥‥すげー、困る。


「‥‥言えよ」

「‥‥嫌われそうだから、言わない」

「はぁ? なに、なんかしたの?」

「‥‥‥」

「っ、おい」


急に立ち上がり、台所に向かった。

横を通りすぎるとき、確かに泣いていた、跡があった。

「めんどくせえって。言えよ」

「っ、なにめんどくさいってッ」

「何も言わないままじゃわかんねーだろって」

「なに‥‥なんなの、なんで私の所なの、他にもたくさん色んな人居るくせに‥‥さっきだって、あんなに綺麗な人‥‥」

「‥‥は?」

「別に私のとこじゃなくてもいいなら出てってよ‥‥もう、タブらかすのやめて‥‥」

は?

綺麗な人? さっき?

タブらかす?

「お前‥‥何言って」

「さっきそこの美容室の前で喋ってたでしょ! 綺麗な人と!」

「‥‥なんだそれ、美容室の前でって、それ店員だろ?」

「‥‥‥え?」

「俺の髪染めた店員だろって」

「‥‥‥店員?」

‥‥ははーん。読めた。

「お前、嫉妬したのかよ」

「‥‥‥別に、してない」

してただろ、その顔。

「あのなァ‥‥ああ、ったく」

「っ、ちょ」

グッと引き寄せる。

そのまま、力を込めて抱き締めた。

「‥‥お前、俺のこと性欲の塊とか思ってたろ」

「え、そうじゃないの‥‥?」

ったく‥‥。

間抜けな女だなァ、マジで。
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