第6章 意気地無しのくせに。【森山由孝】
森山side──────────---
維の家で夕飯をご馳走になった後、真っ暗になった帰路を辿る。
《あらぁ! 維の彼氏? 彼ピッピ!?》
《彼ピッピは古い! ダサい!》
似ているようで似てない親子だったな。
《とうとう維もそんな年かぁ。
じゃあ今日はお赤飯ねっ!!》
《やめて! 赤飯要らないから!》
・・・結局、赤飯だったが。
とにかく、維が幸せそうでよかった。
何でも言い合える親子は、幸せそのものだと思う。
彼女の明るさは母譲りなのだろう。
送っていく、と言ってもらえたが、男の俺が甘えるのも何だかおかしい。
真っ赤に染まった維と、別の意味で赤くなっていた母。
その光景に、心のどこかが温かくなった。
「・・・また明日、か」
ふたり、同時に言ってくれた。
また明日。
不確かなのに、自信がみなぎる言葉だな。