Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)
第10章 天と地の時間
終尾の巨人が、地ならしを巻き起こしながら大地を踏みしめる。
無数の超大型巨人が地を揺るがし、その背にしがみつきながら、ライナー・ブラウンは息を切らしていた。
仲間たちとともに、最後の戦いを続けている。
マーレの戦士たちと、かつての敵である調査兵団。
互いに手を取り、エレン・イェーガーを止めるために必死の攻勢を繰り広げていた。
「くそっ……! きりがねぇ……!」
ジャンの叫びが聞こえる。
そう、終わりが見えなかった。
始祖ユミルが歴代の巨人たちを召喚し、次々と襲いかかってくる。
見たことのない巨人。
かつて恐れられた巨人。
どれも強靭で、執拗で、ただひたすらに彼らを押しつぶそうと迫ってくる。
だが——
その群れの中に、ライナーは見覚えのある姿を見つけた。
鋭い装甲に覆われた体躯。
力強くも無駄のない動き。
——まるで、あの日のままの鎧の巨人。
ライナーの体が硬直した。
(……嘘だろ)
目を疑う。
そんなはずはない。
でも——間違いようがなかった。
彼女だ。
ヒルドルの巨人が、そこにいた。