第1章 幼馴染のアイツ
不機嫌そうなのに電車で盾になってくれるところとかは変わらない。
...というかむしろいつもより距離が近い...。
ただの気のせいだろうな...。
そんなことを思いながら乗っていると 電車が地元の駅に到着した。
地元の駅に着くと 家ではなく 小さい頃によく遊んだ公園がある方へと歩いて行った。
既に人がいなくなって ひっそりとしている公園の中に入るとベンチに並んで座った。
顕嵐:「...。」
凛花:「...。」
顕嵐:「...,。」
凛花:「...顕嵐...?」
顕嵐:「...。」
凛花:「...。」
私の呼びかけにも答えてくれず 私は顕嵐が自分から話してくれるのを待った。
すると数分してからやっと顕嵐が口を開いた。
顕嵐:「凛花。」
凛花:「なっ...何?」
顕嵐:「何で俺に直接言わないの?」
凛花:「あっ...さっきのこと?」
顕嵐:「うん。」
凛花:「だって本人前にして聞けるわけないよ!“顕嵐は私のこと好きなの?”って。」
私は少し慌て中ながらそう言うと 顕嵐はなぜか溜息をつきながら言った。
顕嵐:「てか今まで気付かなかったの?」
凛花:「...えっ...?」
“何に?”と聞く前に顕嵐は先手を打つように続けて言った。
顕嵐:「俺が凛花のこと好きってこと。」
顕嵐は今まで見たことがないような射抜くような真剣な眼差しで私を見つめながら言った。
凛花:「!」
顕嵐から思わぬ告白をされて顔が熱くなるのを感じる。
恥ずかしくて顔を背けようとしたけど 顕嵐の視線に体が縛り付けられたみたいに動かない。
顕嵐:「まぁその感じだと気付いてないみたいだな。」
顕嵐は私の顔を見つめながらそう言うとクスッと笑った。
凛花:「...ごめんなさい...。」
なぜか分からないけど私は顕嵐に謝ると 顕嵐はケラケラと笑いながら言った。
顕嵐:「何で凛花が謝るんだよ。」
凛花:「だって...何か申し訳ないから...。」
そう言うと顕嵐は私の頭を優しく撫でた。
顕嵐:「ま。凛花のことを好きになった時点で覚悟してたからいいんだけどね。」
凛花:「何を覚悟してたの?」
顕嵐:「凛花は鈍感だから成就するには長期戦になるって。」
顕嵐はそう言うとクスッと笑って立ち上がった。