第3章 優しいアイツ
うん。何かというか 私的にはだいぶとショックなことだけど。
でもこんなことを怜央に言った時の反応が怖くて言えない。
面倒くさいとか細かくてウザイとか思われたくない。
モブな私でもせめて性格は面倒くさくない良い女の子でありたい。
心の中で言ってしまいたい自分と怜央に嫌われてしまうかもしれないという恐怖でどうすることもできずにいた。
すると突然怜央は腰を屈めて私にキスをした。
そしてリップ音を鳴らしながら啄ばむようにキスを何度も何度もした。
何?
どうゆうことなの?
訳が分からずにされるがままの状態でいると 怜央が唇から離れて私の目を見つめながら言った。
怜央:「凛花。」
凛花:「...。」
怜央:「もしかして俺 何かした...?」
いつものニコニコと笑っている怜央の顔は 今は不安げに瞳が揺れていて私をじっと見つめていた。
そして親指で私の目尻をそっと撫でた。
その時頬に冷たい感覚がして 自分が今泣いてることに気付いた。
怜央:「泣いてる...。」
凛花:「...何で...泣いてるんだろう...。」
私は手の甲で涙を拭ったけど 涙は収まるどころかどんどん溢れていく。
あーあ。本当に顔も良くなければ面倒臭い女だな 私って。
そんなことを思いながら泣いていると 怜央は腰を更に屈めて私よりも目線を下にして見上げるように私を見つめた。
そして涙を拭こうと忙しなく動く両手をそっと握ると 私の目尻や瞼にキスをした。
何で怜央はそんなに優しいんだろう...。
私は怜央のこと置いて勝手に帰ろうとしたんだよ?
勝手に嫉妬して泣いて 疲れてる怜央に迷惑しかかけてないんだよ?
なのに勝手に自己嫌悪で泣いちゃうし 怜央を困らせることしかしてないんだよ?
なのに...。
...なのに...どうしてそんなに優しく接してくれるの...。
すると怜央はリップ音を鳴らしながら手の甲や手首 指 指の間までキスをした。
柔らかい唇の感触と時々感じる舌の感触を擽ったく思いながらされるがままの状態でいた。
暫くすると怜央は両手で私の手を包み込むようにして握ると 私を真っ直ぐに見上げて言った。