第3章 優しいアイツ
でも怜央から出て来た言葉は全く違うものだった。
怜央:「凛花!」
凛花:「ん?」
怜央:「ギリギリになってごめん!」
“凛花以外の人からはどんな物でも貰いたくないの”
“やっぱり好きな人から貰う物よりも嬉しいものはないでしょ?そう思わない?”
さっき言ってた言葉は嘘だったのか....。
そう思ってしまい私は何故か涙が出そうなぐらい悲しくなった。
でも私の彼氏は人気者の長妻怜央だ。
モブの私よりもヒロイン級に可愛い子に言い寄られれば靡いてしまうのも仕方がない。
そう思って無理やり納得させたけど やっぱり納得できなくて...。
だからいつも以上に冷たく素っ気なく接してしまった。
凛花:「間に合ったからいいと思う。早く準備した方がいいよ。」
そう言うと私は萌と一緒にコーチの元に向かって午後の予定について確認しに行った。
ー19:00ー
すっかり日が沈んだ頃 バスケ部の練習が終わった。
今日は午後の練習開始ギリギリに戻ってきた怜央が体育館のモップ掛けを1人でさせられていた。
私はというと 萌と一緒に後片付けをしていた。
萌がゼッケンやタオルを洗い 私は隣の物干し竿に干していった。
萌は洗い終わると見たい番組があるからと言って先に帰ってしまった。
と言っても片付けは終わっていたので 私はマネージャーの部室で着替えてバックを持った。
いつもは一緒に帰るけど 今日は怜央とは一緒にいたくない。
黙って帰ろうかなと思ったけど 練習で結構ハードなものをしろと言われそれをこなした上で1人であの大きな体育館をモップ掛け。
凛花:「...まぁいいか。...様子を見るぐらい。」
私は体育館の入り口からこっそり中を覗いて黙って帰ることにした。
...怜央とは一緒に居たくないけど 1日の最後に怜央を見れないのは寂しいし 少しだけなら...。
そう思った私はまだ電気が付いてる体育館へと向かった。
そっとドアを開けるとモップ掛けを終えてヘトヘトな様子の怜央がいた。
本当に疲れてるんだな。
これは私が会いたい会いたくないの前に 怜央に早く家に帰ってもらって休んでもらった方がいい。
...結局怜央のことばっか考えてるし...。
心の中でいろんな感情が混ざっていると 怜央が少ししか開けて見ていないはずの私の姿を見つけた。