第3章 優しいアイツ
駅は休日の朝ということもあって あまり人が乗っていなかった。
私達は手を繋いだまま並んで座った。
怜央:「休日はこれだからいいよね♪」
凛花:「でも早起きしたくない。」
怜央:「でもさ 人に押しつぶされずに2人で並んで椅子に座れるよ?」
凛花:「...うん。」
そんな会話をしながら高校の最寄り駅で降りるとゆっくりと歩きながら高校へと行き 休日は正門が閉まってしまうため裏門から入った。
私はそのまま体育館に入り 怜央は練習着に着替えるので体育館裏にある部室へと向かった。
怜央:「じゃあ後でね。」
凛花:「っ!」
怜央はそう言うと私の頭を撫でて 前髪をそっとあげるとおでこにキスをした。
そしてニコッと笑うと部室へ走って行った。
凛花:「〜!」
心臓がもたない...。
そんなことを思いながら体育館の床の上に座り込んでしまうと 私が入った体育館の入り口とは反対側の入り口から声がした。
萌:「おはよー。凛花。」
凛花:「...おはよ。」
萌は私の友達で元々バスケ部のマネージャーの萌。
怜央と話す程度の仲だったのも 萌がたまたま怜央に私のことを紹介したのがきっかけだ。
萌はマフラーを外しながら私の方を見て言った。
萌:「相変わらず長妻君 凛花にメロメロだね。」
凛花:「メロメロって...。」
萌:「いやいや!今時 毎朝毎朝キスしてるとか新婚でもいないよ?」
凛花:「そうかな...って...見てたの⁉︎」
萌:「...さて仕事仕事〜。」
凛花:「最悪だ...。」
私は顔を両手で覆いながらそう呟いた。
コートとマフラーは脱いで バスケ部用のジャージの上だけ羽織ると スポドリの準備や用具の準備などをした。
すると練習まで後20分ぐらいあるのに 怜央が練習着の上にジャージを着て私のところに駆け寄ってきた。
怜央:「凛花ー!」
そして私に抱きつくと腰を屈めて 私の肩に顎を置いた。
凛花:「...何...。」
怜央:「寂しいから会いにきた。」
耳元で囁くようにして言うとクスッと笑った。
凛花:「〜!」
怜央:「照れてる凛花も可愛い。」
そんなことを言いながら私に抱きついてくる。
正直周りに見られるのも恥ずかしいから早く離れて欲しい。
でも言っても聞かないだろうし それに少しだけ嬉しく思ってしまう。