第3章 優しいアイツ
階段を慌てて降りて職員室で日誌を渡すと 直ぐに下足室で制靴に履き替えて家に戻った。
制服から部屋着に着替えてベッドに入ると 毛布を顔までずり上げた。
凛花:「長妻...あんなふざけたこと言って何が目的だったんだろ...。」
そんなことを思いながら両親が帰ってくるまでベッドの中で待っていた。
ー3日後ー
あの日から何となく長妻を避け 話さなきゃいけない時は何事もなかったかのように話していた。
疑問に思うことは多々あるけど 私は長妻本人じゃないし本人に聞こうとも思わないから何であんなことを言ったのか真意は分からない。
でもそれでいい。
今更蒸し返すのも嫌だし これ以上このことに触れたくない。
そんなことを思いながらLHRを黙って受けていた。
「今日はこれで終わりにするけど 何か全体に連絡がある人はいる?」
担任がクラスにそう言うと 長くて細い腕が真っ直ぐ伸びた。
「長妻君。何かあるの?」
怜央:「はいっ!重要なお知らせです!」
この何もない時期にそんな重要なお知らせがあるのか?
そんなことを思いながら彼の方を見ると なぜかバッチリと彼と目が合う。
なんだろう...。何か嫌な予感がする。
すると彼は私の方に歩んでくると 目の前に立った。
クラスの皆が何事かと私と彼の両方を交互に見ていた。
私は身長の高い彼を座った状態で見上げると彼は蕩けるような甘い笑顔を浮かべながら言った。
怜央:「凛花ちゃん。」
凛花:「はっ...はい...。」
若干怯えながらそう言うと 彼は笑顔のまま私を見つめて言った。
怜央:「好きだから俺と付き合って。」
するとクラスが一瞬静かになり そして直ぐにざわつき出した。
「どういうこと⁉︎」
「何で長妻が折原なんかに?」
「何かの罰ゲームか?」
「でもそんなことするような奴じゃないだろ。」
本当にその通りだ。
何で“私なんかに”告白するんだ。
しかも2度も。
本当に罰ゲームかなんかで 私がOKしたら “実は嘘でーす”とか言うのかな。
もしそうならいつまでもかわいそうだから言ってあげたほうがいいのか?
でもそんなことしたくないしな...。
そんなことを思いながら彼をギョッとした顔で見ていた。