第3章 優しいアイツ
それから後 特に話したいこともないし早く終わらせて家に帰りたい私は黙々とボールペンを動かして何とか日誌を書き終えた。
凛花:「ん。終わった。」
怜央:「お疲れ!」
凛花:「ありがと。」
そう返事はしたもののふと疑問に思った。
書き終えるまで5分ぐらいかかったけど その間なんでずっとここにいたんだ?
忘れ物をしたならとっとと取って体育館に戻れば良い。
てか戻らないと練習できないでしょ。
そう思い私はニコニコ笑って私を見つめる彼に言った。
凛花:「早く部活に戻った方がいいんじゃない?」
怜央:「んー。確かにそうだね。」
じゃあそう思ってるなら早く戻れよ。
そう思ってると彼はクスッと笑いながら言った。
怜央:「実は凛花ちゃんに用事があって待ってた。」
凛花:「私に?」
怜央:「うん。」
彼の用事を聞くような間柄じゃないけどな。
そんなことを思いながら彼の方を見ると 今まで彼の顔に浮かんでいた笑顔が消えて 普段の彼からは想像できないような真剣な顔をした彼がいた。
怜央:「凛花ちゃん。」
凛花:「何...?」
思わず少しだけ姿勢を良くして彼の方を見た。
怜央:「俺さ 凛花ちゃんのことが好き。」
凛花:「...。」
怜央:「だから俺と付き合って欲しい。」
凛花:「...は...?」
あまりに唐突な内容に私は思わず声が漏れた。
でもそんなの当たり前に決まってる。
だって今まで友達を介して少しだけ話をしたぐらいの子にいきなり好きって言われても...いくら顔が良くても無理があるって。
そう思っていると 彼はその端正な顔を私の方に近づけて来た。
改めて近くで見ると本当に整ってるなーとか場違いなことを思ってると 彼は真剣な表情のまま言った。
怜央:「本気だから。」
凛花:「い...いやいや...。そんな悪質な冗談はやめといた方がいいよ。」
怜央:「えっ...!だから俺はー...。」
凛花:「早く部活戻りなよ。じゃあ戸締りよろしくね。」
私は驚きのあまり若干顔を強張らせながら目を合わせずにそう言うと フックに掛けていたバックを肩にかけて日誌を抱えると直ぐに教室から出た。