第3章 優しいアイツ
だって人生初めての彼氏が学年で1番の人気者でイケメンの怜央なんだもん。
カースト的に怜央と釣り合うような容姿でもないし人気もない。
いわゆるモブだ。
なのに1年前の高校1年生の時 私は突然この凄く人気者の怜央から3回も告白された。
1度目は2人きりの放課後 2度目はクラスの皆の前で 3度目は友達と下校中の時だった。
ー1年前ー
凛花:「...寒い...。」
私は日直で日誌を書いていた。
ペアの子が用事があるとかで代わりに書いて欲しいとのことだった。
本当はいつも通りSHRが終わったらすぐに帰って家に引きこもりたい。
でも用事ならしょうがないかと思い引き受けた。
で 書き始めたはいいが 今日は11月上旬にも関わらず気温が4℃しか無いというカオスな日。
私 凍死しちゃうんじゃないかな...。
教室で暖房をガンガンに入れてても校舎がボロくて隙間風が入ってきてしまい 室温が下がって寒くてしょうがない。
教室なのにマフラーとコートを着て日誌を書いてると 突然教室のドアが開いた。
この時間に教室に人が来るなんて珍しい。
そんなことを思いながら顔を上げてドアの方を見ると そこには同じクラスで学年1人気者の長妻怜央がジャージ姿で立っていた。
彼は確か友達と同じバスケ部に入ってて 今は部活中のはずだけど...。
そんなことを思っていると彼は私を見つけるとニコッと笑った。
怜央:「あれ?凛花ちゃんが残ってるって珍しいね。」
友達の関係で軽く話すぐらいの仲だけど そんな彼は私のことをなぜか下の名前にちゃんを付けて呼んでくる。
凛花:「あ...うん。日直のペアの子がどうしても用事があるからって言ってたから。それで。」
怜央:「そっか。凛花ちゃんは優しいね。」
彼は前の席の椅子に反対向きになって座ると私の机に肩肘をつきながら言った。
凛花:「そんなことないよ。」
怜央:「俺なら速攻で断るけどなー。」
ケラケラっと笑いながら彼はそう言った。
そりゃ 彼みたいに人気も容姿も兼ね備えてれば良いけど 私みたいなモブには出来ないよ。
心の中でそんな風にツッコミを入れながら 口角をわずかに上げた状態で話を聞き ボールペンを動かした。