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気になるあの人

第1章 幼馴染のアイツ



顕嵐:「相変わらず ラッシュ時は人が多いな?」

凛花:「だね。顕嵐は大丈夫?」

顕嵐:「うん。むしろお前がこの電車の中で迷子になる方が怖いから こっちの方が安心。」

凛花:「そんなに言われるほど迷ってることはないと思うけどな...。」

顕嵐:「誰だっけ?家から歩いて10分の新しくできたカフェに行けなくて俺に泣きついて来たの。」

凛花:「...私です...。」

すると顕嵐はなぜかドヤ顔でクスッと笑うと ただでさえ至近距離なのにさらに顔を近づけた。

顕嵐:「ほらな?まぁ凛花が1人で迷わずどこでも行けるようになったらやめてあげるよ。」

凛花:「それって...果てしなく先の話のような気が...。」

そう言うと顕嵐はおかしそうに笑った。

顕嵐:「じゃあ俺もこれから当分先はずっと凛花と一緒だな。」

凛花:「一緒って...何かカレカノみたいに聞こえるからやめてよね。」

顕嵐:「だな。」

そう言うと私と顕嵐は顔を近づけてクスクスと笑った。



電車から降りると正門が閉まるまで後7分。

でも学校までは15分はかかる。

顕嵐:「凛花 若干間に合わない。」

凛花:「だね。」

顕嵐:「走るぞ。」

凛花:「はーい...。」

私はゲンナリしながら返事をすると顕嵐が頭を優しく叩いた。

顕嵐:「コラ。俺も凛花の巻き添い食らって走るんだからそんな顔するな。」

凛花:「はーい。」

唇を尖らせながらそう言うと改札から出て走り始めた。

運動神経のいい顕嵐は1分走っても息が上がったりしないけど 運動神経など皆無の私は少し走っただけでヘトヘトだ。

凛花:「もう無理ー。」

顕嵐:「いやいや。さすがにもう少し頑張って走んないと遅刻になるぞ?」

凛花:「でもしんどい...。」

すると顕嵐は私の左手を握って走り始めた。

凛花:「鬼だ...。」

顕嵐:「俺は遅刻したくないから。ほら 行くぞ。」

私の左手を握る手に僅かに力を込めるとラストスパートを駆け抜けた。

そして私達が門をくぐった瞬間 チャイムが鳴った。

顕嵐:「何とか間に合ったな。」

あれだけ走ったのに顕嵐は汗もかかずに息もあげずに至って爽やかに言った。

凛花:「...。」

一方私はと言うと 顕嵐のペースに合わせて必死に足を動かしたせいでとうに限界を迎えていた。





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