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気になるあの人

第1章 幼馴染のアイツ



凛花:「寝坊したーっ!」

「何度も起こしても寝てたからでしょ?」

お母さんは冷たくそう言うと とっとと会社に行く準備をして「じゃあ先に行くわねー。」と言い残して私を残して行った。

凛花:「ひっ...酷い...。」

テーブルに置かれてるパンを食べて 一応お母さんのさりげない気遣いであろうと思われるカットされたバナナを口に押し込んだ。

それと同時にインターホンが鳴り それと同時に家のドアが開いた。

誰が来たか分かってたから インターホンに応じるわけでも無く口をモグモグと動かしながら皿を流し台に置いた。

すると足音が段々と近付いて来て 私のいるリビングにやって来た。

顕嵐:「また寝坊?」

凛花:「あはは...。でもまたってこともないよ?」

顕嵐:「今学期何回目だよ。」

凛花:「...10回目...ぐらいかな?」

顕嵐:「どうみても“また”だろ。」

そう言うと顕嵐はクスッと笑ってテーブルの上に置かれている私のバックを持った。

顕嵐:「ほら。早く行くぞ。」

凛花:「ん。」

そう言うと私は口の前に手を当ててモグモグとしながら返事をした。

私の家に断りもなく入って来たこの男は阿部顕嵐。

親同士が仲が良いから幼稚園からの幼馴染だ。

顕嵐とは家も近くて高校も結局地元の同じ高校に進学したから 何となく毎日一緒に通ってる。

顕嵐:「お前 顔がハムスターみたいだぞ。」

凛花:「へ?」

バナナがまだ喉を通らずに口に残っているため 手で口を押さえながら隣を歩く顕嵐に言った。

すると顕嵐は私の両頬を右手の親指と人差し指で軽く摘み 私の顔を見つめた。

顕嵐:「うん。マジでハムスターだわ。」

そう言うと顕嵐はクスクスと笑った。

凛花:「しょうがないじゃん!寝坊して急いで食べたんだから。」

顕嵐:「はいはい。次は寝坊すんなよ?」

凛花:「はーい...。」

そう言うと私達はいつものように学校から駅まで向かい 2駅分電車に乗った。

私達が電車に乗る時間は丁度通勤・通学ラッシュだから人が凄く多い。

本当なら乗るのが憂鬱になるこの人の多さ。

でも顕嵐は男前なのか 私を壁際に寄せて盾になってくれるから そこまで憂鬱な思いはしてない。





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