第1章 幼馴染のアイツ
顕嵐:「...凛花からしたら急に言われたことで混乱してるだろうけど 俺からしたらずっと前から思い続けてるから我慢の限界だった。そんな時に美勇人との話を聞いたら本当に我慢できなくて今に至るわけ。」
凛花:「そっ...そっか...。」
すると顕嵐は私の髪をそっと掬うと自分の手に絡めて弄びながら言った。
顕嵐:「...凛花は俺の気持ちを知って何か思わなかった...?」
私の目を射抜くように熱っぽい眼差しで私を見つめる顕嵐。
でもその瞳は私の答えを聞くことを恐れているのか どこか不安そうに揺れていた。
私もちゃんと覚悟を決めなきゃ...ー
1度大きく深呼吸すると 顕嵐の不思議な瞳を見つめながら口をゆっくりと開いた。
凛花:「あのね...顕嵐から好きって言われた時 正直自分が顕嵐のことを好きなのかどうか分からなかった...。今まで異性として見たことがなかったから...。」
顕嵐:「...。」
凛花:「でも告白されたのは凄く嬉しかった...。それは告白されたのが初めてだからじゃなくて 顕嵐だったから嬉しかったんだと思う...。」
顕嵐:「!」
凛花:「でも顕嵐のことを1度も異性として見たことがないのにこんなこと思うのはおかしいし...。でも顕嵐が私以外の子に私にしてきたことをして私にしなくなるなんて考えたら胸が苦しくて泣きそうになる...。顕嵐がいない生活なんて考えられない...。...正直 自分でも自分の気持ちが分からない...。」
すると顕嵐は机から身を乗り出して私のことを抱きしめた。
そして私の耳元に唇を近付けると囁くように言った。
顕嵐:「それって...もう俺のこと 好きってことじゃん...。」
凛花:「えっ...。」
顕嵐は私から離れると 唇が触れ合うくらいの距離まで顔を近づけて言った。
顕嵐:「鈍感な凛花に教えてあげるよ。」
凛花:「⁉︎」
顕嵐:「そんな風に俺が今まで凛花にしてたことを他の女子だけにするのを想像したら胸が苦しく泣きそうになるっていうのは嫉妬。」
凛花:「嫉妬...?」
顕嵐:「そ。次に俺がいない人生なんて考えられないっていうのは 俺に依存してるってこと。」
凛花:「依存...。」
顕嵐:「そして最後に。」
そう言うと 今まで平然と話していた顕嵐は表情を崩して蕩けるよう笑みを浮かべながら言った。