第1章 幼馴染のアイツ
凛花:「顕嵐のことは大好きだけど 異性としてではなく人として好きなの。それに小さい頃から一緒にいるから家族みたいな存在だし。だから急に告白されても頭がついていかない。」
咲良:「うん。」
凛花:「...でもね 告白された時...ちょっと嬉しかったんだ。それは初めて告白されたからって訳じゃなくて 顕嵐だったから嬉しかったんだと思う。」
結奈:「...。」
凛花:「だから正直 私自身も顕嵐のことが好きなのかどうか分かんないんだよね...。」
すると結奈が少し考えてからゆっくりと口を開いた。
結奈:「私は...それが“好き”って気持ちなのかなって思うけどな...。」
凛花:「...。」
結奈:「確かに告白されるのはどんな人からされてもちょっと嬉しくなるよね。どんなにブサイクでも。」
咲良:「んー...まぁね。」
凛花:「多分...。」
結奈:「でもそうじゃなくて顕嵐君がしたから嬉しいって分かってるってことは それは凛花が顕嵐君のことを頭のどこかで好きって思ってるからじゃないかなって思った。」
凛花:「でも今までそんな風に顕嵐のこと考えたこともないし そうなりたいとも思わなかった...。」
すると結奈は優しく微笑みながら言った。
結奈:「それは多分 一緒にいるのが当たり前だったからじゃないかな?」
凛花:「?」
結奈:「幼稚園の頃から一緒なんでしょ?」
凛花:「うん。」
結奈:「小さい頃からどこに行くのも一緒に行くのが当たり前だったら そんなこと思わないよ。だって一緒にいるのが普通なんだもん。」
凛花:「⁇」
結奈:「その様子だと分かってないみたいだね。じゃあ顕嵐君が隣にいないことを考えてみて。登下校も電車も学校にもいないって考えてみて。」
そう言われて 頭の中でいつもの光景から顕嵐の姿を取り除こうとした。
でもー...
凛花:「...想像できない...。」
いるのが当たり前すぎて いない時なんて考えたこともない。
実際 顕嵐は私よりも体が丈夫だから風邪とかで休むこともなかったから 私が学校に行く時はいつも隣にいた。
私が熱で寝込んだ時は家まで来て様子を見てくれてた。
こんなに一緒にいるのに顕嵐のいない世界なんて想像できない...。