第1章 幼馴染のアイツ
顕嵐:「凛花ー?もしもーし。」
家の前の壁にもたれていた顕嵐は私の前に来て 顔を覗き込んだ。
凛花:「なっ...何でいるの?」
顕嵐:「そりゃ...ね。凛花のことだから どうせ俺と会わないようにとか思って家を早めに出るだろうって思ってたから先回りした。」
凛花:「...。」
顕嵐:「何年幼馴染してると思ってんの?それぐらい分かるよ。...まぁ好きなヤツのことならなおさら分かるけどね。」
そう言うと至近距離で見つめる顕嵐が爽やかに笑った。
私は顕嵐の顔が直視出来なく顔を逸らすと そのまま顕嵐を置いて駅の方へと歩いて行こうとした。
すると顕嵐が横を通り過ぎようとした私の手首を掴んだ。
顕嵐:「何先にいこうとしてんの。」
凛花:「...。」
顕嵐:「ほら行くよ。」
そう言うとサラッと私の手を繋いでいつもの通学路を歩いて行った。
昨日の顕嵐の宣言を思い出し 何をされるのかビクビクとしながら歩いてるがいつものように他愛もない話をするばかりだった。
電車に乗っていつものように盾になってくれる。
手を繋がれてる以外は何も変化はない。
...まぁ何かされるわけじゃないからいいか。
そんなことを思いながら顕嵐と手を繋いだまま登校した。
そして教室の近くに来た時に いつものように前後のドアに別れて入ろうと手を離そうとした。
でも一向に顕嵐は離そうとしない。
ん?何でだろ?
凛花:「顕嵐。」
顕嵐:「ん?」
凛花:「手 離してくんないと教室入れないよ。」
顕嵐:「離さなくていいじゃん。一緒に入ればいいんだから。」
顕嵐は口角を上げて言うと 教室の前のドアから中に入った。
そして私の席に着くと顕嵐はやっと手を離し 私の顔に自分の顔を近付けて言った。
顕嵐:「昨日のこと 忘れたわけじゃないでしょ?」
凛花:「...っ。」
顕嵐:「まっ。その感じなら覚えてるみたいだな。」
そう言うと顕嵐は私の頭を撫でると自分の席に戻った。
チラッと周りを見ると 結奈や咲良だけでなく クラス全員が私と顕嵐を交互に見ていた。
2人に至っては目を大きく開いて口をパクパクしていた。
これは昼休み...というか次の休み時間にー...「「凛花っ!」」
私の予想よりも早くに2人が私の所に来た。