第7章 決意
ニノに謝ると、ニノは全てを知ってたと言った。
それでも俺を救いたかったと…俺は本当にニノに愛されてたんだ。
過去を思い出さない事を、誰と約束したのか、ニノに尋ねられた。
でも、智くんとの話をニノに詳しく教える事は出来ない…
だって心配するでしょ?
俺は智くんの事を想い続けるけど、想いを伝えることはない…
だって、智くんにも忘れられない人がいるんだ。
「翔さん、もう何も聞かないよ…
これからは、仕事仲間として助け合っていこうね」
穏やかな笑顔で俺に話すニノ…最後までニノに甘やかされてるな。
ニノの事を好きになれてたら…でも、それは無理だという事はわかってる。
心が勝手に求めてしまってるあの人を、これから先も忘れることが出来るとは思えない。
だからこのままニノに甘え続けることは出来ないよ。
「ニノ、本当にごめんなさい…
そして今までありがとう…」
改めて頭を深く下げた。
そうしたら、ニノの手が俺の頭に触れポンポンと優しく叩いてくれた。
「翔さん、もういいから顔あげて?」
俺の頭を撫でるニノの手…
智くんのようにドキドキはしなかったけど、優しくて好きだったよ…
ゆっくり顔をあげた。
「俺、翔さんの役に立ててた?」
「もちろんだよ…ニノに愛して貰えて幸せだったよ?」
「そっか、それならもう何も言うことないや…
大好きな翔さんと、短い間でも恋人でいられたんだ
とても幸せな時間を過ごせたよ…ありがとう、翔さん…
愛してたよ、幸せになってね」
ニノが俺の頬にキスをした…
絶対に泣かないって決めてたのに、俺の意に反して瞳から一筋の涙が溢れた。
「ありがとニノ、さよなら…」
俺は立ち上がり、感謝の気持ちを込めて、ニノをぎゅっと抱きしめてから歩き出した。
一瞬振り返ると、ニノの頬に流れる涙が見えた…
声をあげずに泣いてくれたニノ…
最後の最後まで優しさをありがとう…