第7章 決意
智くんと話をして、俺はニノに自分の気持ちを伝えようと決めた。
仕事終わりに、少し緊張しながらニノに声を掛けた。
「今日、ニノの家に行っていい?」
そう聞くとニノは笑顔で答えてくれる。
「どうしたの?改まって。もちろんいいよ?」
ニノは俺が別れ話をするなんて、思ってもいないんだろうな…
だって昨日までは普通に恋人だった。
ニノに悪いところなんて1つもなくて、それどころか俺に愛情を注ぎ続けてくれた。
そんな優しいニノに、残酷な真実を伝えようとしている俺は、最低な人間だと思う…
でも、これ以上嘘は吐けないよ…
嘘を重ね続けて、ニノの事を好きになれるならそうする。
でも、それは無理だとわかってしまったから…
記憶を無くしてから3ヶ月。俺はニノの愛情の中で生活を送ってきた。
それなのに、たった一瞬智くんに触れられただけで
俺の心は智くんから離れられなくなったんだ。
ごめん、ニノ…
ニノと別れたからって智くんに想いを告げることはないけれど
それでも智くんを想ったまま、ニノに抱かれ続けるなんて、その方がニノに失礼だと思ったんだ。
俺を許して欲しいなんて思ってない。
憎まれても恨まれても当然だ…
ニノの望む罰は、どんな罰でも受ける覚悟でニノの家に向かった。