第6章 葛藤
翔くんに抱きしめられ声を掛けると、慌てたように離れていこうとするから、腕を掴み引き戻し抱きしめた。
なんで君はこんなにも温かくて優しいんだろう…
これで最後だから…俺の心と体を君の温かさで満たしたら、ニノに君を返すから。
俺の取るべき道は最初から決まっていたんだ。
君は俺に幸せになれと言う…
だけど、やっぱり俺は君以外の人を好きになる事はないよ…
でもさ、幸せって人それぞれじゃん?
誰かと一緒になることだけが幸せじゃないよ…
俺の幸せは、君が笑顔で居続けてくれること…
だから俺はこれから先も、君が幸せでいられるように見守っていくよ。
翔くん…大好きだよ。
言葉にして伝えられかったことに、少しの後悔は残るけど
君を好きになれて良かった。
俺に『愛しい』という想いを教えてくれてありがとう。
今までの感謝の気持ちを込めて、翔くんに『ありがとう』を伝えると、君は安心したように微笑んだ。
メイクを終えた松潤と相葉ちゃんが戻ってきた。
「翔くん、休めた?顔色も良さそうだし、表情も明るくなった」
「うん、ありがと松潤…俺もメイクに行ってくるね?」
「いってらっしゃい」
「あ、大ちゃんはもうちょっと待ってね?
さっき、ニノが始まったばかりだから」
「え?ニノ先に行ったの?
用があるからって出ていったんだけど…」
「そうなの?
でもニノ、俺たちが行ってすぐメイク室来たよ?
『翔ちゃんは?』って聞いたら『大野さんに任せてきた』って」
ニノ?どういう事だ?
翔くんとふたりきりにしたのは、やはりわざとなのか?
なんで?ニノがなぜそんな事をしたのかわからない…