第5章 認識
「俺、別に智くんの事、特別に接してないよ?
皆と同じようにしてるつもりだけど」
「だろうね、翔くんとリーダーってさ、普通なの…
特別仲良くしてるとかじゃないんだよ
それで言うとさ、翔くんと相葉くんの方が良く話してるし、ニノとリーダーの方が良くじゃれ合ってる…
なんだけどさ、一番解り合ってるのって翔くんとリーダーなんだよね…
何も話さなくてもお互いを理解し合ってる」
「でも俺、今は智くんの事何も知らない…」
「それでもさ、その分リーダーが翔くんの事を常に気に掛けてるよ」
「智くんが?」
「あれ?気がついてない?
リーダー、よく翔くんの事見てるよ?
たぶん、あの翔くんが倒れた日から特にだと思うけど…心配なんでしょ?翔くんの事…
前は逆のイメージだったけどね?」
「逆って?」
「翔くんが常にリーダーの事見てたよ?
だから見る方と見られる方が逆になっただけで、ふたりの空気感は前に近いなぁって感じてる」
智くん、心配してくれてるんだ…気が付かなかった。
最近は前の事知りたくて、考え込んだりしてたから…周りに目がいってなかった。
「ありがと松潤、色々教えてくれて」
「どういたしまして、お安いご用だよ?
それでさ、何か思い出した事とかあるの?」
「今のところ全くない…
この前倒れたからさ、病院では余り続くようだったら催眠療法とか考えようって言われたけど
あれ以来頭痛もしないし…また経過観察しようって」
「翔くんは?思い出したい?」
「思い出したいよ…皆の話を聞けば聞くほど思い出したくなる」
「まぁ、そうだよな…
本当に本気で忘れたい記憶なんて、そうそうないだろうから」
『忘れたい記憶』?そんなもの存在するのか?
少なくとも俺にはないんじゃないか?
今だって智くんのこと思い出したいし…
それとも忘れてしまった記憶に何かあるのか…