第2章 恋心
ニノが楽屋に入ってきた。
入ってくるなり俺の様子を窺うような視線。
わざと早くきた訳じゃない…
それでも翔くんとふたりきりでいたことを何となく申し訳なく思ってしまう。
ニノから翔くんを奪う気なんて全くないんだ…
そもそも俺にはそんな資格はない。
俺が今出来ることは翔くんの幸せを願うことだけたから。
ニノは当然の様に翔くんの隣に寄り添うように座る。
翔くんもそれをなんの抵抗もなく受け入れる。微笑みながら会話をしているふたり。
俺が願うまでもなく、君はもう幸せなんだね…
「おっはよ~」
「おはよう、相葉くん」
「おはようございます、朝から騒がしいですね」
「え~?普通でしょ?あれ?大ちゃんどうかした?」
「あぁ、相葉ちゃん、はよ…どうもしないよ?」
「そう?なんか元気なさそうたったから」
「ん~、ちょっと眠いだけだよ」
「朝なのに?」
「朝でも眠いもんは眠いの」
「そっか…それならいいんだけどさぁ」
「ふふっ、心配してくれてありがと…」
「どういたしまして…まぁ、ほんとに具合悪かったりしたら俺より先に翔ちゃんが気がついてるもんね」
その言葉にドキリとする。
確かに今までそうだった…
体の具合が悪くても、気持ちが落ち込んでても最初に気付くのは翔くんだった。
翔くんはどれだけ俺のことを見ていてくれたんだろう…
些細な異変も見逃さず声を掛けてくれてた。
それを当たり前に感じてて、俺は幸せを幸せとも知らずに過ごしてたんだな…