第1章 後悔
「いやー、翔ちゃん助けて~
ニノが怒った~」
相葉ちゃんが翔くんの座っているソファの隣に座り、翔くんの腕にすがり付く。
「あっ!また貴方はそうやって、翔さんに助け求めるんだから」
「だって、翔ちゃんしか助けてくれる人いないじゃん」
「そうじゃなくて。助けて貰わなきゃいけないようなことをする貴方が悪いんでしょ?」
嵐の楽屋ではよく見られるニノと相葉ちゃんの小競り合い。
まぁ、ある意味いつも通りで平和な光景。
そしてその仲裁に入るのもいつも翔くんで
「はいはい、ふたりとももう終わりね?」
翔くんの一言で終了。
元々本気の言い合いじゃないし、どちらかと言えばお決まり事だしね。
「ねぇ、ちょっといい?翔くん」
「ん?なに?」
相葉ちゃんの座ってる反対側に松潤が座る。
「これなんだけどさぁ…」
スマホを見せながら、ふたり肩を寄せ合い何やら見てる。
ちょっと顔近くね?
「あ~、そこね。知ってるよ?」
「え、マジで?いいなぁ…」
「紹介してやろうか?」
「いいの?やったぁ。ありがとう」
嬉しそうに笑う松潤を、優しい目で見る翔くん。
ほんとに翔くんは、嵐の中のお母さん的存在だな…
いつもの光景を眺めながら、そんなことを考えぼーっとしていた。
「大野さん、そろそろ収録行くよ?」
「うわっ」
いつの間にか翔くんの顔が目の前に…
「そんな驚かないでよ。まさか目を開けて寝てた訳じゃないでしょ?」
翔くんにクスクスと笑われた。
「あぁ…ごめん。ぼーっとしてた…」
「大野さんらしいね…」
「おふたりさん、行きますよ~」
ドアの前に立つニノが声を掛ける。
「は~い」
返事をして歩き出そうとする翔くんの腕を、思わず掴んだ。
「大野さん?」
不思議そうに俺の事を見る翔くん。
「あ、ごめん。立たせてくれる?」
「はいはい、おじいちゃん」
翔くんが笑いながら手を貸してくれた。
「おじいちゃんじゃねぇし…」
「ふふっ。ほら、行くよ」
あの時、こうやって君の腕を掴んで引き留めていたら…
俺たちは、今でも一緒にいられたのかな…