第2章 恋心
翔くんとの関係が終わっても翔くんは今までと変わらない態度で俺と接してた。
いつものように笑顔を見せ俺のフォローをしてくれる。
終わりになったことが嘘のようだった…
でも現実なんだと思い知らされるのは翔くん越しに見えるあいつの視線…
あの時もそうだった。
思わず翔くんの腕を掴んでしまったあの時
ドアの前に立つあいつと目が合うと冷ややかな目で俺を見ていた…
まるで『俺のモノに触るな』とでも言いたそうな目。
頭では分かっているんだ…
自分が今までしてきた事を考えれば何も言える立場じゃないことは…
でも、心が勝手に求めてしまう…
いつのまにか視線が君の姿を追ってしまう。
長い間、君もこんな気持ちでいたのだろうか…
だとしたら、俺はなんてひどい仕打ちを君にしてきたんだろう。
今更謝っても許しては貰えないだろうし、新たなパートナーを得た君にはどうでもいいことなんだろうけど
それでも君に償いたい…そう思うのは俺のエゴなのか…
もう過ぎた過去のことはなかったことにした方が君の為なのかな…
だから君は何事もなかったように俺と接してるのか。
そして、あいつも今までと変わらない…
収録中は俺に絡み、楽屋でもいつものように過ごす。
ただ俺が翔くんに触れることさえしなければ…
「おはようございます」
「ん、おはよ…」
「相変わらず眠そうですね?大野さん」
「ん~、そっかぁ?」
今日はニノとふたりで雑誌の取材。
いつものようにあいさつをし、いつものようにゲームを始めるニノ。
「あ、そうそう大野さん」
ゲームをやりながら軽い口調で話しかけるニノ。
「ん?なに?」
「分かってると思いますけど…変な気、起こさないでくださいね?」
視線はゲームに向いているが、神経は俺の方に向いているのが分かった。