第6章 敵陣営へ
独香がここへ来て一月が経つ
冷たかった風がほんのりと暖かくなり
「 良い春だ 」と信長は語る
町の人々も作物が良く育ち、活気で満ちた
そんなある日のこと。
いつも通り朝ご飯をみんなと食べ、仕事へ移ろうとしたとき
信長と秀吉に呼び止められる
信長「 そろそろ此処にも慣れてきたか 」
「 はい。皆さん凄く優しくて… 」
信長「 では、仕事をやろう 」
「 ? なんですか 」
チャリンと独香の手元にお金を置く
信長「 城下で金平糖を買ってこい 」
「 金平糖… 」
( 好きな食べ物、だよね。由鶴さんと話したから覚えてる )
「 分かりました。行ってきます 」
秀吉「 一刻以内には帰ってこいよ。約束は覚えてるか 」
「 えっと… 」
城下に一人で行く際、約束事をした。
怪しい人影を見たときから秀吉はどうも気にかけていた
しかし周りから
「 ずっと付き添っていたら独香も動きにくいだろ 」と言われ
約束 という形で見守るようになった
「 頭痛がしたらすぐに帰ってくる、難しいときは周りの人を頼ること、
城下から外へ出ない、危険なことに踏み込まない 」
秀吉「 よし。気を付けろよ 」
「 はい 」
門番「 独香様! お出かけですか? 」
「 おはようございます、おつかい ですかね 」
門番「 あまり無理はなさらないように… 」
「 はい。…今日もお仕事頑張って下さい 」
門番「 はっ! 」
人との関わりを大切に。
その思いは城の人皆に伝わっているようで
嬉しそうに返事をしてくれる
( 一刻以内。金平糖買ったらすぐに帰ろう )
そう思いながら、城をあとにした